今日は、自身が関わる2つの団体の総会、その他でした。
ところで、4月20日(金)には最高裁判所から地方議会制度に関わる重要な判断が示されました。翌日には、一部マスコミで大きく報道もされました。
内容は、地方議会の権利放棄の議決についての考え方です。合併前の旧久喜市議会でもあり、全国から注目されたものです。
簡単に説明すると、これまでは自治体の首長が住民訴訟を起こされ、首長が敗訴して首長がその自治体に損害を与えたことから損害賠償責任が生じた場合でも、議会の議決によってその自治体が首長に損害賠償請求をする権利を放棄ができました。しかし、今回の判例では住民の代表機関である地方議会の議決といえども住民訴訟の勝訴による自治体の権利を放棄する議決に一定の制限を加える判断を示したもので、画期的です。
ちなみに、旧久喜市議会の時には当時の区画整理組合への市からの職員派遣の違法性が問われ、不利な状況をにらんでこの件の判決が出る前に、議会による権利放棄の議決がされました。つまり、判断がされる前に損害賠償請求権を消滅させました。これには、私を含む何人かの議員が反対しましたが、過半数で権利放棄が成立しました。
その後も全国の自治体に権利放棄の議決が見られ、問題視されていました。そして、第29次地方制度調査会でもこの制度改正が議論されましたが、一部の委員から議会の権限として自治体の権利放棄の議決が重要、強調されたこともあり制度改正にはいったっていませんでした。
そんな中、今回は神戸市が外郭団体に職員を派遣していることについての判例で、議会の権利放棄についての一定の判断が示されました。少し長いですが、以下に判例を抜粋します。
「そして,このような議会の議決の裁量権の範囲,適否については,対象となる権利・請求権が住民訴訟の対象となっている,あるいは,対象となる可能性があるという場合と,そうでない場合とで異なることはないというべきである。しかし,権利の放棄の議決が,主として住民訴訟制度における地方公共団体の財務会計行為の適否等の審査を回避し,
制度の機能を否定する目的でされたと認められるような例外的な場合(例えば,長の損害賠償責任を認める裁判所の判断自体が法的に誤りであることを議会として宣言することを議決の理由としたり,そもそも一部の住民が選挙で選ばれた長の個人責任を追及すること自体が不当であるとして議決をしたような場合が考えられる。)には,そのような議会の裁量権の行使は,住民訴訟制度の趣旨を没却するものであり,そのことだけで裁量権の逸脱・濫用となり,放棄等の議決は違法となるものといえよう。法廷意見は,このような例外的な場合(なお,本件はこのような場合には当たらない。)は別にして,一般に権利放棄の議決がされる場合,議会の裁量権行使に際して考慮すべき事情あるいは考慮することができる事情を示し,議会の裁量権の逸脱・濫用の有無に関しての司法判断の枠組みの全体像を示したものであり,議会としては,基本的にはその裁量事項であっても,単なる政治的・党派的判断ないし温情的判断のみで処理することなく,その逸脱・濫用とならないように,本件の法廷意見が指摘した司法判断の枠組みにおいて考慮されるべき諸事情を十分に踏まえ,事案に即した慎重な対応が求められることを肝に銘じておくべきである。」(平成22年(行ヒ)第102号 神戸市外郭団体派遣職員への人件費違法支出損害賠償等,同附帯請求事件平成24年4月20日 第二小法廷判決)
このように判決では、地方議会の議決に関する裁量権を認めつつ、後段にあるように地方議会が単なる政治的・党派的判断や温情的判断で、裁判所の判断が誤りとして権利放棄の議決をしたり、首長の個人責任を追及すること自体が不当として権利放棄の議決をするのは地方議会の裁量権の濫用で違法性があるということを述べています。
この判決を踏まえて、首長の自治体への責任・損害賠償の範囲も合わせて再び議論が活発化して、第29次地方制度調査会で結論が出なかった法的整備が期待されます。